いまや2人に1人がなんらかの「がん」にかかる時代です。もはや他人事ではありません。しかし、医学の進歩により、「がん」は不治の病ではなくなりました。早く発見して、適切な処置が行えれば、生存率を上げることができます。(これを「早期発見」と言います。)
 
そのためにも

①異常に早く気づき、病院に行くこと
②症状がなくても、定期的な検診に行く習慣をつけること
③医師や周りの人に相談すること
④いざという時に慌てないよう、がんに対する正しい知識を身につけたり、備えをしておくこと
⑤まわりが声掛けをすること

 
例えば母親に、友達に、一声「検診受けにいこう」と言うだけでも、その人の人生は変わるかもしれません。自分で鏡の前に立ち、自分の乳房をチェックしてみて気づくこともあるかもしれません。自分に出来ること、から始めてみましょう。

乳がんについて


乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生しますが、
一部は乳腺小葉から発生します。男性にも発生することが、あります。男性も、多くは女性と同様に乳管からがんが発生します。
乳がんは、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺
など)に転移することがあります。

乳がんになりやすい人


 
乳がんになりやすい要因は様々です。しかし、下記に該当するからといって、必ずしも乳がんになるというわけではありません。
 
遺伝との関係:

遺伝的な乳がん発症リスクのある人は約7~10%と言われています。妹・おばなどの血縁者が乳がんに罹った人は、遺伝的に乳がんに罹りやすい可能性があります。

女性ホルモンとの関係:

乳がん発症は、女性ホルモンであるエストロゲン(主に卵巣から分泌)が関係しているといわれています。エストロゲンが分泌されている期間が長ければ長いほど乳がんを発症するリスクは高まります。月経が早く始まった人、閉経が遅い人、出産したことのない人、授乳期間が短い人、ホルモン補充療法を行なっている人は乳がんのリスクが高いとされています。

生活習慣とのかかわり:

過剰な脂質摂取、飲酒、喫煙、夜間勤務や夜型の生活などの生活習慣が影響していると考えられています。

 
 

乳がんになりやすい方の傾向
参照:日本乳癌学会 乳がん診療ガイドライン2022年版

どうしたら予防できるの?


日本では毎年、たくさんの人ががんになっており、日本人の2人に1人が一生のうち一度はがんになるというデータがあります。がん予防についての研究からは、がんと生活習慣病・環境との間に深い関わりがみられています。生活習慣を改善することでがん予防に取り組むことができます。
 
参照:科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)

実際に、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの改善可能な生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人では、将来がんになる確率に差が出たという推計が示されました。(*1)
生活習慣を実践することでがんリスクは低くする可能性があるということがわかってきていますが、もちろんそれだけで完全に予防できるわけではありません。日頃からセルフチェックや検診を受けること、生活習慣を気を付けることなど、出来ることからでも良いので、自身の生活を見直していきましょう。
 

(*1)国立がん研究センターの研究による。
Sasazuki S, et al. Combined impact of five lifestyle factors and subsequent risk of cancer: the Japan Public Health Center Study. Prev Med. 2012; 54(2): 112-6.
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html)

もっと乳がんについて知りたい!


 
 

 

ではさらに乳がんについて、学んでいきましょう。乳がんってどういうもの?治療は?薬って辛いの?などなど、BC Tubeの現役乳腺科医が疑問に一つ一つ答えていきます。(外部サイトへ接続します。)

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